茨城県近代美術館天心記念五浦分館(茨城県天心記念五浦美術館)
1 設立の目的
茨城県天心記念五浦美術館(五浦分館)は、近代日本画を育んだ五浦地域の歴史的背景を踏まえ、ゆとりやうるおいのある文化的環境の整備を求める県民の要望に応えるため、岡倉天心や、横山大観をはじめとする五浦の作家たちの業績を紹介するとともに、美術鑑賞の機会や日本美術の情報を広く発信するなど、本県文化及び県北地域の振興に寄与することを目的とする。
2 基本方針
- 岡倉天心や、横山大観をはじめとする五浦の作家を顕彰する。
- 近代日本画を中心に、日本・東洋の伝統美術から現代の多様な日本画表現の鑑賞の場とする。
- 岡倉天心関連資料の収集に加え、天心の業績に関する調査・研究を進め、その成果や日本美術に関する情報を発信する。
- 多様な文化活動が展開できる場とする。
- 初めて美術に出会う子どもたちの感性を醸成する場とする。
3 活動計画
(1)展覧会の開催
ア 岡倉天心記念室
- (ア) 天心の生涯と業績紹介
- 天心に関する資料を中心として、解説パネル、写真パネル等を加えながら章立てをして、天心の生涯と業績を分かりやすく紹介する。
- 7,000点余の資料の研究をもとに、周期的に展示替えをし、各章にふさわしい資料を紹介する。
- テーマ展示コーナーを設けて、資料研究の成果を発表し、天心の業績を立体的に紹介する。
- (イ) 五浦の作家紹介
天心の指導を受けた横山大観、下村観山、菱田春草、木村武山ら五浦の作家の作品を中心に、周期的に展示替えを行いながら、いつでも日本画を鑑賞できる場とする。
イ 企画展
- (ア) 基本的な考え方
- 近代日本画の発展に尽くした岡倉天心の業績や五浦の歴史的背景を踏まえ、日本画を中心とした展覧会を開催する。
- 未来を見すえた天心の理想に沿うため、美術の新しい動向を紹介する。
- 子どもたちの興味を誘うような展示にも心がけ、愛される美術館をめざす。
- 地域活性も視野に、より広い層に来館いただける企画展を地域あるいは民間企業との提携によって実施できるよう努める。
- 日本画の魅力を多角的に紹介するため、所蔵作品や天心関連資料を生かしながら、企画展を開催する。
- (イ) 展示計画
年5~6回程度の企画展開催を目途とする。
(2)資料の収集活動
ア 基本的な考え方
岡倉天心記念室の充実を図るとともに、岡倉天心や五浦の作家をはじめとする日本美術の情報発信の中心地となって研究発展に寄与すべく、岡倉天心や五浦の作家たち及び近代日本美術に関連する資料(岡倉天心関連資料)を収集する。
イ 収集方針
上記の資料に関して、(1)書簡・日記、(2)草稿、(3)書画、(4)文書、(5)書籍、(6)写真、(7)その他の分類に基づき、購入、寄贈、寄託の方法により収集する。
(3)調査・研究
- 岡倉天心に関する研究はもちろんのこと国内外の美術作品・資料に関わる専門的な調査・研究を行い、その成果を発信する。
- 岡倉天心の業績を顕彰するため、五浦の作家たちをはじめ、周辺人物に関する資料を幅広く収集することにより、近代日本美術に関する調査・研究を推進する。
(4)美術普及活動の展開
ア 学校等との連携
- 学校・大学や生涯学習団体等との連携を密にし、美術館の利用に努める。
- 学校団体対応には、教育普及アートバス事業を含めた対話型鑑賞をめざす。
- 日本画トランクなど、学校の授業に役立つコンテンツを提供する。
イ 各種教育普及活動
- 企画展などの作品鑑賞を助け、美術への理解を深めるため、美術に関する講演、講座及び作品解説会等を開催する。
- 美術の技法や創作の楽しみを味わうため、技法講座やワークショップを行う。
- 親しまれる美術館をめざし、映画会やコンサート等を開催する。
ウ 貸しギャラリーの運営
- 地域住民や美術団体等の創作活動の成果を発表する場を提供するため、展示室を貸し出す。
エ デジタルミュージアム構想
- 遠隔地からでも、美術の魅力や天心の業績を知り、当館への興味を抱いてもらえるよう、動画配信をはじめとした様々なデジタルツールの展開を進める。
(5)美術情報活動の展開
- 美術への親しみや関心を深めるための美術情報をウェブツールとしてのホームページや各種SNS等も活用しながら発信する。
- 美術図書、資料、映像等を鑑賞、調査する図書情報コーナーを設け、情報を提供する。
- 天心記念室では、ガイドツアーを行うとともに、解説ツールとして音声ガイドを提供する。
- 美術館活動の情報提供については、ポスター・チラシをはじめ、マスコミ、ミニコミ、ホームページ、SNS等、様々な手段により行う。また、記者発表、内覧会、セレモニー等も広報効果を考えながら行う。
4 今後の課題
施設への塩害などの対策を講じるとともに、断崖部分の保全については、長期的展望に立って、関係機関と協議を進めていく。
掲載日 令和7年2月13日