茨城県天心記念五浦美術館の概要

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企画展

令和4年7月9日(土)~9月25日(日)
開館25周年記念展Ⅱ
並河靖之の雅な技
世界を魅了した明治の京都七宝

明治時代、輸出用の工芸として人気を博した七宝。並河靖之(1845-1927)は、京都で七宝作家として活躍しました。並河は武士出身でしたが、明治維新後は七宝業に取り組み、海外で人気を博しました。明治29年(1896)には帝室技芸員となり、当代一流の工芸家としての地位を確立しました。
近年、明治時代の美術・工芸が再注目されています。近代日本美術の発展に尽くした岡倉天心(1863-1913)の業績を顕彰する五浦美術館では、天心と同時代に活躍した並河靖之の初期から晩年までの七宝作品を一堂に紹介する展覧会を開催します。本展では、並河七宝の名品に加え、下絵等の関連資料、修学院離宮に伝わる江戸時代初期の飾り金具、さらに並河と同時期に活躍し「東のナミカワ」と呼ばれた濤川(なみかわ)惣助(そうすけ)の七宝作品なども展示することで、並河七宝の魅力を紹介します。

会期 令和4年7月9日(土)~9月25日(日)
休館日 月曜日
ただし7月18日(月・祝)、9月19日(月・祝)は開館、7月19日(火)は休館
開館時間 9:30~17:00(入場は16:30まで)
入場料 一般840(730)円/満70歳以上420(360)円/高大生630(520)円/小中生320(210)円
※( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳又は指定難病特定医療費受給者証等を持参の方および付き添いの方(ただし1人につき1人まで)は無料
※夏休み期間中を除く土曜日は高校生以下無料
※9月15日(木)~21日(水)は満70歳以上無料
主催 茨城県天心記念五浦美術館
協力 公益財団法人並河靖之有線七宝記念財団
後援 朝日新聞水戸総局/茨城新聞社/株式会社茨城放送/NHK水戸放送局/産経新聞社水戸支局/東京新聞水戸支局/毎日新聞水戸支局/読売新聞水戸支局/北茨城市/北茨城市教育委員会

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I 前時代の七宝~並河七宝以前
                 

日本の七宝の歴史は、大陸からの影響を受けて発展しました。飛鳥時代には、奈良県の牽牛子塚(けんごしづか)古墳から出土した七宝金具、奈良時代には正倉院の黄金瑠璃鈿背十二稜鏡(おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう)が知られており、これらは大陸文化の影響を大きく受けた遺品と考えられています。平安時代以降は空白の時代を迎えますが、その後、桃山末期から江戸初期にかけて再び七宝が注目されるようになりました。
中国では、七宝のことを琺瑯(ほうろう)と称し、明・清代の頃に盛んになり、乾隆時代(1736-95)には、華麗な花瓶などが数多く作られました。並河は、中国の輸出用の七宝製品に魅せられたことが、七宝業に入るきっかけとなったと言い、特に初期の作品にはその影響が見て取れます。
江戸初期の京都の曼殊院や桂離宮、修学院離宮などでは襖の引手や釘隠といった飾り金具に七宝の技法が使われ、その雅な姿を今に伝えていますが、並河は帝室技芸員時代に命を受け、この花車形の釘隠を模造しています。
第I章では、並河七宝以前の七宝作品を紹介します。

「七宝花車形釘隠」
「七宝花車形釘隠」
延宝5年(1677) 宮内庁京都事務所蔵

 

II 世界を魅了した並河七宝

明治維新直後の京都の工芸界は、東京遷都によって衰退し、政府の掲げる輸出奨励策に沿った貿易品の製造に切り替えることで打開を図っていました。そうしたなか、並河靖之は京都で伝統が途絶えていた七宝に着目します。参考にしたのは、伝統的な象嵌七宝ではなく、中国の有線七宝でした。その後、内外の博覧会への出品を積極的に行うなかで、透明な七宝釉薬の開発と植線と呼ばれる金属の細線の改良を重ね、艶やかな黒地と緻密な意匠による独自の作品を製作して評価を得ていきます。
そうした中、並河は明治29年(1896)には美術家としての最高の栄誉である帝室技芸員に就任しました。主に外需によって支えられていたために欧米の富裕層好みの作品を製作することが多かった並河七宝ですが、明治40年頃より、余白を効果的に使い、名所絵など日本人にとって親しみのある表現へと変化をみせます。さらに技術面においても、暈かしや濃淡をあらわして有線七宝の枠を超えた新たな境地を示すようになってゆきます。

並河靖之「桜蝶図平皿」
並河靖之「桜蝶図平皿」
明治期 京都国立近代美術館蔵
並河靖之「蝶に花丸唐草文飾壺」
並河靖之「蝶に花丸唐草文飾壺」
明治期 京都国立近代美術館蔵
並河靖之「菊御紋章藤文大花瓶」
並河靖之「菊御紋章藤文大花瓶」
明治-大正期 並河靖之七宝記念館蔵
※国登録有形文化財
並河靖之「菊唐草文細首小花瓶」
並河靖之「菊唐草文細首小花瓶」
明治-大正期 並河靖之七宝記念館蔵
※国登録有形文化財
III 同時代の七宝

並河靖之が活躍した明治期は、国の後押しによる輸出が中心とはいえ、我が国の七宝界が大きく活気づいた時期でもあり、多くの優れた作家が世に現れることとなりました。
近代七宝をリードしたのは、独自の研究のもとに七宝の技術を習得した尾張の梶常吉(1803-83)に学んだ人々です。常吉の七宝試作が成功したのは天保3年(1832)と伝えられますが、幕末の頃には尾張地方の特産品として世に知られるようになりました。この七宝が後に日本の特産工芸品として世界に販路を拡大した背景には、常吉から直接指導を受けた林庄五郎らが、林小伝治など多くの作家たちにその技術を伝えたことが大きく影響しています。その後、教えを受けた人々によって愛知から東京・京都・神奈川等に広められ、明治期の一大産業へと発展しました。
その七宝を芸術品へと価値を高めたのが京都の並河と東京の濤川惣助です。「二人のナミカワ」と称された二人は、明治七宝界を牽引し、後に七宝家としてはじめて帝室技芸員に任ぜられます。
第III章では、並河と同時代、隆盛を極めた明治七宝の名品の数々を紹介します。

濤川惣助「柳燕図花瓶」
濤川惣助「柳燕図花瓶」
明治期 京都国立近代美術館蔵
撮影:木村羊一
IV 画家との交流

並河靖之は古画蒐集を趣味とし、その上近代絵画をも所蔵していました。なかでも交流の深かった富岡鉄斎の作品は多数にのぼります。ここでは、鉄斎の作品とともにやはり交遊のあった福田平八郎の作品を取りあげます。
富岡鉄斎(1837-1924)は京都出身。和漢の学を修め、幕末に勤王の志士らと交わり、維新後は40代までは幾つかの神社の宮司を勤めました。絵は特定の師につかず、大和絵、中国文人画の手法を学び、国内各地を旅行して独自の画境を形成しました。並河と鉄斎は共に明治23年(1890)に発足した京都美術協会の会員であり、さらに両者の交流は、並河が仕えた久邇宮(くにのみや)朝彦親王を介しても行われていました。 鉄斎は、明治10年(1877)に大鳥神社宮司となり、同年、神宮祭主の朝彦親王が同社を参拝したことが縁となり、久邇宮家と親交を結ぶようになったのです。
一方、福田平八郎(1892-1974)は大分出身の日本画家。明治43年(1910)に画家を志し京都へ出、その後、京都市立絵画専門学校に進学し、在学中より官展系の展覧会を中心に活躍しました。生涯にわたり鯉を好んで描きましたが、特に大正10年(1921)の帝展で特選を受賞した《鯉》は、画家として高く評価される契機となった重要な作品です。この作品が並河の飼っていた鯉を題材にしたことから、並河家の依頼で新たに描き贈ったものが本展に出品している《鯉》(9月2日までの展示)です。

富岡鉄斎「恊天大帝像」
富岡鉄斎「恊天大帝像」
明治26年(1893) 個人蔵
(並河靖之七宝記念館寄託)

 

会期中のイベント
有線七宝制作体験講座
講師 森 千鶴子 (七宝作家・日本工芸会正会員)
日時 7月23日(土)、24日(日) 各日9:30~16:30 (受付9:20~)
対象 高校生以上 ※材料費および企画展入場券が必要です。
定員 各日6名 ※要事前申込(抽選制)
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七宝づくりに挑戦!
日時 8月6日(土)、7日(日) 各日10:00~11:30
対象 どなたでも ※材料費および企画展入場券が必要です。
定員 各日10名 ※要事前申込(抽選制)
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担当学芸員による作品解説会

出品作品について解説しながら、展覧会のみどころなどをご紹介します。

日時 ①7月30日(土) ②9月4日(日) 各日13:30~(約30分)
定員 各回57名 ※参加無料、当日午後1時より整理券配布予定(先着順)
会場 茨城県天心記念五浦美術館 講堂
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来て・見て・発見!アートツアー for kids

美術館職員と一緒に展覧会を見て回り、作品の前で気になることを話し合って絵の見方を深める活動です。ミニ制作体験もあります。

日時 7月16日(土) 10:00〜12:00
対象 小中学生とその保護者
定員 5組(1組4名まで) ※要事前申込(先着順)
参加費 小中学生無料 ※保護者のみ企画展入場券が必要です。
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映画会
日時 7月10日(日)「奥さまは魔女」1942年/モノクロ/アメリカ
8月14日(日)「名犬ラッシー(家路)」1943年/カラー/アメリカ
9月11日(日)「ジェームズ・ディーンのすべて 青春よ永遠に」1975年/カラー/イギリス
各日とも10:00~
会場 講堂
定員 57名 参加無料、要事前申込(先着順)
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